エターナルリング
夫婦まであと11ヶ月

~君に渡せずにいる自分の気持ち~

「はぁ~。」

長く重たいため息をついてコーヒーを飲み、ビロードの赤い箱を眺める。
あれから1ヶ月経っても、渡せずにいる自分の気持ちの塊。

1ヶ月前にあかねと一夜を共にして、すべて自分の物になったように感じ、興奮した。

でも、目が覚めた瞬間……
こんな筈じゃなかったと後悔してしまう。

あかねは、自分を好きなのか、愛してくれてるのか、自分は気持ちを伝えたのか、そんなジレンマに囚われる。

「そんな筈じゃなかったんだよなぁ……。」

自分から出るのはため息ばかり。

だがそれと同時にあの日の、あかねを思い出しては体が火照ってしまうのだ。

******

飲み会の席で、自分のプロポーズ発言で起こった《結城の陣》の真相を確かめようと上司はもちろん、女性陣も自分の周りにたくさんいた。

プロポーズの相手を躍起になって探すみんなから出た名前は、本命のあかねと同期の茉莉の名前。しかし、挨拶程度でしか接点がない今年入社の受付嬢の名前があがったのには驚いた。
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