溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を




 そして、次の引き出しには数冊の本や書類が入っていた。それを少し見たけれど、花霞にはよくわからないものだった。



 最後の引き出しは少し大きめだった。
 何か沢山入っているのだろうと思い、少し力を入れて引くと、それは思いの外軽く、勢いよく開けてしまった。

 すると、中入っていたものがガチャンッッと音を立てた。



 花霞はそこに入っていたものを見ると、茶色の紙袋に何かが入っているようだった。
 花霞は、恐る恐る中身を見ると白い布に何かが包んであった。


 見ていいはずはないけれど、ここまで隠してあるのは気になってしまう。花霞は心の中で「ごめんなさい。」と椋に謝り続けながら、その白い布で覆われたものを取り出した。

 ずっしりと重いそれを、緊張しながら布をはずしていく。
 そして、姿を表したものを見て、花霞は息を飲んだ。
 驚き、そして恐怖を感じ、花霞はすぐにまた布を巻き、紙袋に入れ直して、引き出しを閉じた。

 逃げるように椋の書斎から出て、花霞はドアに体を預けて寄りかかった。


 そして、自分の両手を見つめる。
 冷たくて、無機質なもの。それに触れただけなのに、花霞の手はカタカタと震えていた。
 ドッドッドッと心臓の鼓動も早くなっている。


 花霞は震える体を自分で抱き締めながら、その場にしゃがみこんだ。



 「な、なんで、あんなものが…………。」



 震える声でそう呟いた後、花霞はしばらくその場所から動けなかった。



 花霞が見つけてしまったもの。
 それは、真っ黒でとても冷たい拳銃だった。







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