溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 「おかえり!花霞ちゃん」
 「あ、椋さん、ただいま………。」
 「はい、キスは?」


 マンションのエントランスに帰ってインターフォンを押す。すると、部屋のドアの鍵を開けておいてくれたようで、まだ、鍵がない花霞を椋が出迎えてくれた。

 そして、玄関に入ってすぐにキスを求められる。椋が出迎えてくれるだけでも、緊張してしまうのに、「ただいまのキス」をされるとは、わかっていてもドキドキしてしまう。
 

 「えっと………。」


 花霞が戸惑いながら、目を瞑る。
 しかし、いつまで経ってもキスの感触が訪れなく、不思議に思った花霞はゆっくりと瞼を開けた。
 すると、同じく不思議そうな顔をしている椋と目が合ったが、彼はすぐにクククッと笑い始めた。



 「り、椋さん?」
 「僕も花霞ちゃんからキスされるの待ってた。二人で目を瞑って向かい合ってたなんて、面白すぎて………。」


 はははっと笑う椋はとても楽しそうだった。彼が出して笑う姿を初めて見て、花霞は妙に心がくすぐったくなった。
 これから、結婚するというのに、彼の初めてを沢山知っていくのだと思うと、不思議な感覚を覚えながらも、ワクワクしてしまうのだ。
 彼の微笑みにつられるように、花霞も笑うと、椋は目を細めて優しく微笑んだ。



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