溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 彼が何故自分に会いに来たのかわからなかったけれど、花霞は早く彼から離れたかった。



 「ねぇ、玲。話って何?」
 「あぁ………。あのさ、お前にあげたネックレスとか指輪とかあるだろ。あれ、返してくれよ。」
 「え………。」


 花霞は、彼のあまりの言葉に唖然としてしまった。そして、玲が自分に会いに来た理由を咄嗟に理解した。
 玲は、自分からお金や金目の物を貰っていこうとしているのだ、と。


 「………玲から貰ったプレゼントは、私が玲から受け取ったキャリーケースの中に入っていなかったよ。部屋にあると思うから、それはあなたが使ってくれていいよ。」
 「おい!嘘つくなよ。俺の部屋にはそんな物なかったぞ!」
 「…………そんな事言っても………あの日アクセサリーはつけてなかったから、部屋にあったはずだよ。」
 「だから、嘘つくなよ!」
 「嘘なんかつてないよ!」


 理不尽に怒鳴られてしまい、花霞も思わずカッとして大きな声を出してしまう。
 玲の前ではそんな態度を出したことがほとんどなかったため、彼は驚いた様子だった。


 「………一緒に住んでいる彼女が居るんでしょ?持っていないか聞いてみたら?」
 「…………。」
 「これで話しは終わりなら帰るね。じゃあ………。」


 花霞がベンチから立ち上がろうとした時だった。
 玲が花霞の左手を強く掴んのだ。



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