人間サイコロ
先生はイクヤの左手小指に、ニッパーを押し当てた。


そしてそれは爪をしっかりと掴む。


「イクヤ、もう終わるからね!」


最後の爪が剥がされる瞬間、あたしはそう言ってイクヤの体を強く抱きしめたのだった。


《クリア》


画面にその文字が出たのを確認すると同時に、あたしは全身の力を失ってその場にヘナヘナと座り込んでいた。


イクヤも呆然とした様子で座り込む。


「止血、しないと」


あたしは鞄の中からハンカチを取り出し、出血を続けているイクヤの手に巻き付けた。


イクヤの指先も手もすべて真っ赤に染まっていて、見ているだけで涙が込み上げて来た。


どうしてあたしたちがこんな目に遭わないといけないんだろう。


あたしたちが、一体何をしたっていうんだろう。


「ユウ……俺は大丈夫だから」


少し落ち着いたのか、イクヤがそう言って口角を上げて見せた。


「イクヤ……」


「泣いてるの? 声が変わってる」


「な、泣いてないよ」


あたしは慌ててそう言い、涙をぬぐった。
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