人間サイコロ
「こんなゲーム、最後までできるわけねぇだろ」


カズヤが憤った様子でモニター前に大股で移動する。


その手には、さっき使われた金槌が持たれていて、微かにホナミの血が付いていた。


「ちょっと、何する気?」


「このゲームをぶっ壊す」


「やめなよ!」


咄嗟に、あたしはゲームの前に立ちはだかっていた。


こんなゲーム壊してしまいたくなる気持ちはわかるけれど、プレイできなくなった後どうなるかがわからなかった。


「お前、最後までゲームをやるつもりか? 死ぬぞ?」


カズヤの言葉にひるんでしまいそうになる。


体中がとても寒くて、この場から逃げ出したくなった。


「でも、ゲームを壊しても出られなかったらどうするの?」


「壁をぶち壊して外へ出る」


「そんなこと、できるわけない!」


あたしはカズヤへ向けて叫んでいた。
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