人間サイコロ
誰だって、こんなゲーム叩き壊してしまいたいと思っている。


でも、それはできないんだ。


カズヤはしばらくイクヤのことを睨み付けていたが、やがて諦めたように金槌を床に落とした。


代わりにあたしへ視線を向けて「次はお前の番だぞ」と言った。


カズヤ向けて頷き、あたしはコントロ-ラーを握りしめた。


画面右上にはサイコロを振るまでのカウントダウンが出てきている。


あたしは大きく息を吸い込み、画面を睨み付けた。


できれば6が出て欲しい。


もし1だったどうしよう。


そんな不安から、呼吸が浅くなってくるのを感じた。


でも、やるしかないんだ。


覚悟を決めたその時だった。


画面の上部になにか英語のような文字が書かれていることに気が付いた。


「なにこれ……」


そう呟き、画面にグッと顔を近づけた。

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