人間サイコロ
「あぁ。3年生のちょっとヤバイ先輩でさ、薬物にも手を出してるって噂だったんだ」


カズヤは袋の中から注射器と、そして白い粉の入った小さな袋と取り出した。


「いつでも気持ちよくなれるように隠し持ってるって噂だったけど、まさか本当だったんだな」


ゲームの噂と言い、先輩の噂と言い、カズヤの情報網は広いみたいだ。


でも、今はそんなこと構っている暇はない。


早く使えそうな道具を探さないと……。


「それ、使えるんじゃないか?」


イクヤの言葉にあたしは手を止めた。


見ると、イクヤはカズヤの持っている注射器に興味を示している。


「イクヤ……?」


「注射器を眼球に突き刺して、空気を入れるんだ。そうすれば、破裂させることができるかもしれない」


そう言いながらも、イクヤの声はひどく震えていた。


「やめてよイクヤ。そんな危ない注射器なんて使わずに、もっと探そうよ」


必死に止めようとするけれど、イクヤは画面のカウントダウンを見るように促して来た。


残りはたったの1分しかない。


もう代用品を探している暇はないのだ。


「いいのか?」


カズヤの言葉に、イクヤは大きく頷いたのだった。
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