月夜に花が咲く頃に
「うるさいっ・・・・・・」


「だから言え。俺はお前を離したくねえ。これから先、お前の隣にいたい。だから、隠すな」



頼む、と紅雅は頭を下げた。



頭を上げた紅雅の顔を見た瞬間に、押し殺そうとしてた苦しくて気持ち悪い感情が湧き上がってきて、溢れた。



「・・・・・・んで、なんでよっ、」



「・・・・・・」



「なんで、どうしてヒロ兄が死ななきゃならないの!どうして抗争の時、一人で突っ走ったりなんかしたのよ!どうしてヒロ兄を助けてくれなかったの!」



紅雅は黙ったまま何も言わない。



「せっかく、ヒロ兄に会えたのにっ、ずっと、探してたのに・・・・・・!」



もう二度と、あの日常に戻ることは出来ない。



もう一度だって、ヒロ兄と笑い合うことは出来ない。



「ヒロ兄っ、ヒロ兄・・・・・・っ」



どんなに名前を呼んでも。



答えてはくれない。



どうして。


なんで。



答えなんて、出てこない。



紅雅を責め立てるのだって、きっと間違ってる。



でも、だけど。



じゃあ、この行き場のない感情は、どうすればいいの?



どうすれば楽になれる?



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