月夜に花が咲く頃に
「・・・・・・楓は、知ってたんだよね。全部」



「うん。紅雅から話は一通り聞いていたから」



・・・・・・やっぱり。



「・・・・・・紅雅が私を探していた理由も分かったし、紅雅の目的はこれで達成できたよね」



それなら。



もう、暁の人が、紅雅が私と一緒にいる理由はもうないはずだ。



でもそういえば、紅雅はあの時、どうしてこれから先も一緒にいるみたいなことを言ったんだろう。



「たしかに紅雅が雫ちゃんを探してたのは、浩さんのことを話す義務があるって紅雅が考えてたからだ。でも、今俺たちが雫ちゃんと一緒にいるのは、それは関係ないよ」



「・・・・・・?どういうこと?」



楓の言ってることが分からなくて、首をかしげる。



楓はそんな私を見て、優しく笑った。



「最初はただ、紅雅から言われたからだった。紅雅に探してほしいって頼まれて、それだけだったよ。でも、今俺たちが雫ちゃんと一緒にいるのは、そうしたいって思ってるからだ」



「・・・・・・やっぱり、分かんないよ」



「ははっ、分かってもらわないと、困るなあ」



楓はどこまでも優しくて。



優しいから、そう言ってくれてるのかな。



むしろ、そうだと思いたいよ。



だって、そうじゃないと。



本心でそう言ってるんだとしたら。



ますます、私はどうして良いか分からなくなる。




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