月夜に花が咲く頃に

「あれ、雫ちゃん?そんなところで何してんの」


・・・・・・またあんたか。


どうやらこのチャラ男はどこにでも現れるらしい。


それにしてもタイミングがいいんだか悪いんだか。


「明原・・・・・・。今日は学校来てないのかと思ってたよ」


「ん?授業は出てねえよ?」


・・・・・・。


じゃあなんのために来たんだこいつは。


訳が分からなくて首をかしげる。


「雫ちゃんのこと迎えに来たんだよ。今日も倉庫、行くだろ?」


・・・・・・ん?


「なんで私がまたあそこに行かなきゃいけないの?」


「へ?だって、これから出入りするようになるんだろ?」


待て待て待て。


話がまったくかみ合わない。


なんで私が暁の倉庫に出入りするようになるんだ。


仲間に入ったわけでもなし。


ましてや誰かの女になったわけでもない。


「紅雅からヨルを仲間に入れるって聞いたんだけど・・・・・・」


なんだそりゃ。


私は何も聞いてないぞ。


「私、仲間になるなんて一言も言ってないんだけど」


眉間にしわを寄せて訴えると、明原はうーん、と考え始めた。


「まあ、紅雅に聞いた方が早いんじゃね?とりあえず行こうぜ!」


うん、そうだ、そうしよう!と明原は私の腕を掴み、ずんずん歩き始めた。



< 40 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop