月夜に花が咲く頃に

「あれ、京極さん?そんなに慌ててどうしたの?」


廊下の途中で奥山と会って、足を止める。


「お、奥山、明原、見なかった?」


息を切らしながら話すと、奥山はただ事でないと感じ取ったのか、真剣な表情になった。


「見てないけど・・・・・・。光と、何かあった?」


さっきあったことを奥山に説明する。


「そっか。光にその話は、タブーだからね」


奥山も明原の過去のことは知っていたらしい。


少し何かを考えるような仕草をしてから、顔をしかめた。


「とりあえず、暁のみんなにも探すように言ってみる」


「うん。私も探す。明原が行きそうなところとかある?」


「うーん・・・・・・。あいつ、いろんなところをうろちょろしてるからなあ。でも多分、もう学校内にはいないと思う。街で暴れてなきゃいいんだけど・・・・・・」


とりあえず何か分かったら連絡する、ということで、奥山と連絡先を交換して、私は学校を飛び出した。


明原、どこに行ったんだよ。


とにかく、足を止めている時間はない。


赤く染まりだした空を見上げる。


暗くなったら探すのも一苦労だ。


早く、見つけなくちゃ。







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