日替わり彼氏


はっ?


い、今なんて?


彼氏、候補?


今日って、何曜日?


完全に頭がパニックになっている私を、ぎろりと見下ろす。


それだけで気絶してしまうそうなくらい、怖い。


坂口大輔(さかぐちだいすけ)は、学校1のヤンキーだ。


目が合った瞬間にパンチが飛んでくる。喧嘩は無敗。がたいが良くって、空手をやっているらしい。髪は眩しいくらいの金髪で、逆立っている。ただ、体の割に顔がとても小さくて、可愛らしい。


一部の女子に人気があるのも、頷ける。


でも、こんな奴が日替わり彼氏に?


「俺じゃ、不服ってわけか?」


私の心を見透かしたように、ドスのきいた声で凄まれる。


ぶんぶんと首を振った。


が、我慢だ。今日1日の我慢。この木曜日さえ過ぎ去ればいい。


「それ、なんだよ?」


ヤンキーの大輔が、私の胸元を指差す。


そういえば、弁当を抱えていたんだ。いざとなれば、投げつけて武器にしようと思っていた。


「お、お弁当だけど」


「お前が作ったの?」


「__うん」


こう見えて、料理は好きだ。


未来の彼氏に手作り弁当を食べてもらうのが、夢だったりする。


「あー」


ヤンキー座りをしている大輔が、うめき出した。


こ、怖い。威嚇してるの?


今すぐにでもここから逃げ出したかったけど__。


「アーン!て言ってんだろうが!」


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