偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
二月初旬。

東京は雪がチラつき、息が白く濁る真冬。
私はドバイに向けて成田空港からエンペラー航空の飛行機で旅立った。
ドバイまでは直行便でフライト時間は十二時間の空の旅。

初めて行く玲人さんの居るドバイに色んな想いを巡らせ、そっとシートに背中を預け、眠ってしまった。

『ドバイ国際空港』

機内の小さな窓から見えた世界で最も高い建造物・ブルジューハリファのてっぺんが見えた。

そのブルジューハリファの周りに広がる美しく未来的な街並み。
そして、エメラルドグリーンの海。
ここがドバイ。
玲人さんの住む場所。

十二時間の長旅を終え、私はドバイに到着した。

「待って居ましたよ…杏花」

ベージュのチノパンに白いTシャツに麻のジャケットを羽織ったカジュアルな服装の玲人さんが私を迎えた。

真冬の東京を旅立ち、着いた先のドバイは日中の平均気温は、二十五度前後。
私はコートとマフラーを脱ぎ、薄手の服に衣替えした。

彼は私の持っていたキャリーケースとボストンバックを取り上げた。

「僕に付いて来て下さい…」

「はい…玲人さん」



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