偽装ウエディング~離婚前夜ですが、抱いて下さい。身ごもりましたが、この子は一人で育てます。~
「失礼します…」

逢沢さんが一人の若い男性を連れて入って来た。

「ルキ君…」

「あ、彼は俺の新しいマネジャーの岩城党利(イワキトウリ)さん」

「岩城先輩?」

「杏花…ちゃん?久しぶり…」

岩城先輩は兄の同級生で、同じバレー部に所属していたクラブ仲間。
百八十五センチの長身でガタイも大きく、顔立ちはどちらかと言えば、男っぽく、中性的な顔立ちの玲人さんとは異なったタイプの男性。

「知り合い?」

ルキ君は私の方を訝し気に見て、問いかけた。

「はい…兄の高校の同級生です」

「こんなとこで再会出来るなんて…意外だな…」

「へぇー…岩城さんが…塩崎さんのお兄さんと同級生ね…」

「そうだ・・・俺のコトよりも…打ち合わせの途中で消えられたら、困るんだ。ルキ君」

「はいはい…戻ろうと思ってトコだよ…」

ルキ君はカップを傾けて残りのコーヒーを一気に飲み干した。

「じゃあね…塩崎さん…コーヒーご馳走様でした」

「どういたしまして…」


「じゃ俺も医務室に戻るよ…」

三人は一緒に社長室を後にした。
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