キミ、が欲しい



あぁ、何気に緊張してきた。
女子の学年リレーで私はアンカーを務める。
さっきから軽く柔軟体操してるけどやっぱ引き受けなきゃよかった……
結構皆気合い入ってるし、元陸上部と現役陸上部で構成されたいわゆる真面目ちゃんチームなのである。




麻衣子のやつ、私の中学での自己ベスト暴露しちゃうもんだから即効アンカーにされちゃったじゃないか。
もうそんなタイム到底出せないっつーの。



アンカーのタスキをかけてスタンバイ。



集合する前にハルにメールした。
出番待ち地点からD組が見える。
バッチリ目が合えば優しく微笑んだ。



ヤバ、まさかのハル……微笑み返し!
口パクで「ガ、ン、バ、レ」って今から勝負なのにニヤけちゃうでしょ。
互いにアイコンタクトした後、スタートは切られた。



初めのスタートって大事なもので密に計算し尽くされたA組女子チームは現役陸上部が出来るだけ差をつけるといった構成。
が、しかし、元陸上部に変わった途端まさかのバトン落下が起きて3位に。



え、私、勝てるのか!?



3位はキープして……!



私にバトンが渡ったのは3位と4位がほぼ同じタイミングだった時。
「頑張れー!」ってハルの声だけが聞こえたなんて有り得ない話なんだけど、何故かそんな気がしたの。



前の走者の背中だけを見て確実に距離を縮めてく。
追い風が私を押してどんどん前に行くのが自分でもわかった。



2位を追い抜く。
気持ちいい風が横切っていく。
少し先の1位とゴールまでの距離。
あれ?これ、いけるかも。
だって1位の子、走り方でわかる。
素人の走りだ。
元陸上部だからって、まだこの体には早い走り方が深く根付いてるんだから。






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