キミ、が欲しい



本格的なお化け屋敷の看板が見えて、教室2ヶ所続いてる体験型お化け屋敷とその隣にVRの部屋があった。



スタスタとVR型の方に進もうとしたら「まずはこっち」と腕を引かれ体験型の方に連れて行かれた。



「ちょっと…!こっちじゃないってば」



「こっち行ってからのVRの方がより怖いから」




「あの、言っときますけど私、おばけ出てきてもキャーとか可愛いリアクション取れないですからね?全く興味ないし」



「いいから、いいから」



暗いことをいいことに馴れ馴れしくされるのは困る。
早速肩を抱いてきた手は払いのける。
そしたら腕にしがみついてきたけど、全て把握してんでしょ?
しらけるわ〜。



突然出てくるゾンビも口裂け女も落ち武者も全部ノーリアクションで進んでいく。
しかも何でわかってるはずの先輩がギャーギャー叫んでるのよ。



「さすがクールビューティーだね…ハハハ」



「これで満足してくれましたか?先輩。ちゃんと、一緒に回りましたからね?」



お化け屋敷の途中、立ち止まりそう告げた。
薄暗い中で先輩がどんな顔してたかなんてそこまでは見れてない。
掴まれてた腕をギュッとされて「先輩…?」と顔を覗いたら……



黒い遮光カーテンの裏に引っ張られコースアウトした。
裏側に連れて行かれて壁側に押し倒される。
裏でスタンバイしてたおばけ役の生徒の方が私たちにびっくりして逃げてった。






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