キミ、が欲しい
【キミ、と越えたい】



「おはよー、ハル」



「お、おはよう!星那…」




駅のホームで落ち合う朝。
チラチラこっちを見て落ち着きのないハル。
会ったそばから顔真っ赤。



「ナニ?昨日、そんなに良かった?」



腕を絡めて聞いたら慌てて声にならない様子。



「で、どうだった?初めての体験は」



周りに聞こえないよう言ったらゴニョゴニョ言ってて聞こえない。



「え?なに?聞こえなーい」



「さ、さ、最高……でした」



「なになに?」



「星那が最高だった!今までで一番!」



ハル……ここホームだからね?
声のボリューム落とそうね。
たまらず笑い転げた。
私まで真っ赤にさせないでよ。
嬉しくてついニヤけちゃうじゃない。



「星那、おはよー」



「あ、麻衣子おはよー、梓もおはよー」



「桜庭もおはよー……って、アンタ本当わかりやすい」



麻衣子たちにまで見破られてしまうほど今日のハルはポワワ〜ンとしてる。
「星那、あんた昨日何したのよ」って言われても……ねぇ?



「よっぽど良かったんじゃない?」としか言いようがなく。
両手で頬をつねって目を覚ますしかない。



「しっかりして?ハル」



「イテテ……はい」




文化祭以来、はれて公認のカップル?になれた私たちは仲良しでお似合いと言われるようになった。
もうじき、付き合って半年を迎える。





「ハル、物理では垂直抗力の問題って結構出てくるから基礎しっかり抑えとこうね」



「うん」



久しぶりの、ハルのお家。
テスト勉強の為にカテキョの真っ最中。






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