冬 -Domestic Violence-


―――――― 


「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」


「はい・・じゃあここで待ってます。」


「やばい、ちょっとお腹下したかも。」


「お昼にソフトクリーム2つも食べるからですよ。」



小さな子供が一緒になって楽しめるデイバージョンと違って、

今から私達が見るナイトバージョンは、プロジェクションマッピングとコラボした、

神秘的なショーでこの水族館の一つの売りだった。


だからみんな考える事は同じなのか、

さっきまでお魚達を見て回っていた時と違い・・

私の周りはたくさんのカップルで溢れる。


開演時間が近づくショー会場は既に照明を薄暗くしてムードを高めていた。




「・・・・・。」


薄暗くて、でも真っ暗ではないこの会場は、まるで私の心を映しているように感じた。

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