新婚蜜愛～一途な外科医とお見合い結婚いたします～

　今日は会えずじまいだった弟さんと、やっと食事をご一緒する。

　向こうもご夫婦でいらしてくれるらしく、奥様は看護師だそうだ。
　色々な意味で緊張する。

　上品なイタリアンのお店で待ち合わせをし、先に席についていた弟夫婦に会釈した。

「初めまして。弟の中村謙吾(なかむらけんご)です。こっちは妻の雅(みやび)」

　弟さんは本当に中村先生とそっくりの、温和なお顔立ちをした人だった。

　省吾さんもご自身と私を紹介する。

「初めまして。兄の五十嵐省吾と、妻の結愛です」

「まずは飲み物を頼みましょう。食事は軽いコースをお願いしてあります」

　弟の謙吾さんの声かけで、場が進行していく。
　省吾さんが取り仕切らないあたりが、らしいなあと思った。

　飲み物が全て揃うと「まずはご結婚おめでとう」と祝福を受ける。

「兄さんのお嫁さんって興味あったんだ。そっか。うん。兄さんらしいな。ね。雅さん」

「ええ。かわいらしい方で安心しました」

　雅さんはハキハキとした、姉御肌らしい雰囲気を感じさせる。

　実際、姉さん女房だと省吾さんから事前に聞いている。
　おっとりした謙吾さんとハキハキした雅さんとで上手く調和が取れていると聞かされていたが、会ってみると省吾さんの意見に頷ける。