腹黒王子の初恋
 その後もイルカショーを見たり、ペンギンに餌をあげたり。久しぶりの水族館を私なりに楽しんだ。その間、無邪気に話しかけてはくれるけどやっぱり目が合うと避けられることが数回あった。

 時計を見ると12時少し前。もうこんな時間になったんだ。

「ここのローストビーブサンド有名なんですよ。すぐ前に公園あるからそこで食べましょう。天気もいいし。」
「…」

 お手本のようなさわやかな笑顔。

 しかもスマート。

 断る隙を与えられず、しかもイヤイヤでもなく、思わず公園まで着いていくことになってしまった。

 やっぱり女の子の対応になれてるよなぁと思うと、何だか胸が一瞬苦しくなった。 
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