ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
 過去の人生を思い出して、不安な気持ちを漏らしてしまったエリナを、その晩のルディは文字通り包み込んだ。
 モッフモフのフェンリルの身体で。

「ふわあああ、夢なら覚めないで!」

 暖かく包み込む銀の毛皮に埋もれたエリナは(この世の天国! もう、生きてるか死んでるかなんて、このモフモフの前では些細な出来事なんだ!)とすっかり蕩けた顔で幸せに浸っていた。
 そんな幸せそうなエリナの顔を見て、ルディは満足げに言った。

「ははは、夢ではないぞ。さあ、俺の尻尾によく(くる)まるが良い!」

「フェンリルさま、最高の毛皮です! この世の奇跡なのです! モフモフの頂点に立つ存在です!」

「そうか、よし!」

 すっかりご機嫌のルディは(今ほどフェンリルに生まれて良かったと思った瞬間はない!)と、胸を張ってエリナを包み込み、エリナは辛い過去などどこかに吹き飛ばして、気持ちの良い夢の世界に旅立ったのであった。
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