ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
 そして、トリマーの仕事はそれ程給料が高くない。自分のお店を持てば別だが、雇われトリマーの給料では食べていくのがやっとだ。
 そのただでさえ高くない給料が、見習いだからといって減らされている江理奈は、当然の事ながら生活費が足りない。

「……仕事自体は楽しいんだけどな」

 江理奈はため息をついた。

 彼女は天涯孤独の身で、頼れる実家もない。生活費が足りなければ、自分で稼ぐしかないのだ。
 ペットサロンに就職する前は専門学校に通っていて、その学費もバイトでまかなっていたので預金も少ない。そんな江理奈は、今日もこれから、ファミリーレストランのバイトで深夜まで働かなければならない。

「でも、今日は可愛い子たちのシャンプーもブラッシングもできたから、嬉しかったな。みんなモフモフに膨らんで……ふふっ、可愛いくて大好き」

 江理奈は少し微笑んでからタイムカードを押すと、重い足を引きずってペットサロンを後にした。
< 3 / 209 >

この作品をシェア

pagetop