花のようなる愛しいあなた
「あと、もう一つお知らせがあります」
千姫が目配せをすると、多喜が小声で千姫の身体の変化について淀殿に伝える。
「あら、おめでとう。
大人の仲間入りね」
「そうなんです、お義母さま!
私、これで秀頼くんと子供作れるんですよね!?
今すぐにでも作りたいです!」
「!!!!!」
千姫の直球すぎる大胆な要求に、淀殿は今度は真っ赤になって叫ぶ。
「バカ言ってんじゃないわよ!!
「バカなんて言ってません!」
「はしたない事言ってんじゃないわよ!
あんたはいいから勉強してなさい!!」
「何で!?」
「っ、もう、姫様っ!」
「てか、多喜!
そういう教育もちゃんとしときなさいよ!!!」
「申し訳ございません…」
「もう、何なのよ~~…」
世継ぎ世継ぎという割には、ここにいる大人たちは何を恥ずかしがっているのか。
何がはしたないのか。

不服そうな千姫におばば様が語る。
「月のものが来たとしてもまだ身体が出来上がるまでには数年かかるものよ。
それを急いで命を落としたものもいたからのう。
お方様はそれを案じておられるのじゃ」

当時の日の本はロリコン大国だったので、初潮がくればすぐに子作りをさせられる少女も多かった。
しかし、おばば様が言うように身体が出来上がっていない内の性交渉は命の危険を伴う。
肋骨などの骨を砕いてしまうことや、内臓を傷つけてしまったりして、女性器から出血が止まらずそのまま死に至ることもままあった。

「じゃあいつになったら良いんですか!」
「成人したら良いわ」
この時代の成人は、はっきりとは決まってなかったが、
男性は数えで15歳くらいの正月・女性は数えで16歳の6月ということが多かった。

「えっ…じゃあ後4年…!?」
「それまでしっかり精進しなさい」

千姫の我慢の時間はまだまだ続く。
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