身代わり王女の禁断の恋
「だったら、私が王位継承権を放棄するわ。
そうすれば、誰と結婚しても文句はない
はずよ。」

「王女殿下… 」

そう呟いたクラウスは、珍しく苦しそうに顔を歪ませた。

「クラウス、お父さまを呼んでちょうだい。」

私はクラウスにそう命じたけれど…

「申し訳ございません。
それは致しかねます。
王女殿下は、まだ体調が本調子では
ございません。
もう少しばかりお休みいただいて、今夜、
国王陛下のご公務が終わられてから、
王妃陛下とともにお越しいただきます。
お二方とも、それはそれはご心配をなされて
ましたので。」

クラウスは諭すように言った。

ご心配をかけた…

そうよね。

私、死のうとしたんだもの。

お父さまやお母さまの事を思うと、申し訳なくなる。

「分かったわ。
その代わり、クラウス、眠るまで手を
握ってね。」

私の言葉に、クラウスは優しく微笑んでくれる。

「かしこまりましてございます。」

私は、クラウスの手の温もりを感じながら、また眠りに落ちた。
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