身代わり王女の禁断の恋
「王女殿下の容態は、いかがなの?」

私は、帰る道すがら、クラウスに尋ねる。

クラウスは、私をちらりと見て、

「……… 変わりありません。」

と答えた。

「え? 目覚めるんじゃないの?」

「………目覚める可能性がゼロではなくなった
というだけのことです。」

そんな…

もうすぐ目覚めるんだと思ったのに…

「もし、目覚めなかったら?」

「……… 大丈夫です。
絶対に目覚めます。」

いつも冷静で理詰めで話すクラウスが、この件に関してだけは、理由もなく、ただ盲信するのみ。

それだけ、彼にとって王女殿下は大切で特別な存在なのね。
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