身代わり王女の禁断の恋
11月の海岸沿いの宿は、ほとんど宿泊客もいなくて、すぐに部屋に案内され、午前中、私たちは2人、手を繋いで寄り添って眠った。


午後になり、私たちは、海を散策する。
2人で手を繋いで、お互いの温もりを感じながら。

「ふふっ
なんだか不思議。」

「何が?」

「私たち、ずっと森の中にいて、こんな
小さな空しか見えなかったのに、今は、
どこまでも続く広い空と広い海を前にしてる
なんて。」

私は、上に挙げた両手で小さな円を作って見せながら話す。

これが夏だったら、もっと海も空も青くて綺麗だったのかしら。


夕方になり、近くのレストランで食事を取り、
宿に戻る。


2人きりの部屋で、アルフは私の手を彼の両手で包み込むように握った。

「クリス、君を愛してる。
何があっても、俺が君を守るから、一生、
俺について来てくれるね?」

そう告げられて、私にできる返事は一つしかない。

「はい。」

私の返事を聞いて、アルフはそのまま私を抱き寄せた。

「例え死が二人を分かつとも、俺の心は永遠に
クリスのものだ。」

アルフの胸から私の頬に直接響く、その優しい声は私の心を震わせる。
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