キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「本当は、ブーケトスをするつもりだったんだけど。
次に幸せになって欲しいのは………
お姉ちゃんだから。」

そう言うとブーケを手渡された。

「二人で幸せになろうね。」

「ふぇ~ん。」

大号泣の唯に

「泣くのはもうちょっと後にして欲しいんだけどなぁ~」って先生。

ソッと涙を拭いて

「ほら、ここからがメインなんだから頑張って!」って。

まだ何かあるの?

泣きすぎてぐちゃぐちゃの唯に笑顔を向けて

「小さいお母さん、卒業式………おめでとう。」って。

………………………??

もう何がなんだかわかんない。



「遥ちゃん、手紙をお願い。」

遥ちゃんから尋ちゃんに手紙が渡された。

…………まさか??

唯の予想通り………。

「お姉ちゃん。
…………今日は『小さなお母さん』と呼ばせてね。
小さなお母さん。
今日まで、本当にありがとう。
生まれた時からずっと一緒にいてくれた大切な人。
憧れて、大好きで……。
でも愛情が重たく感じた時もあった………。
家族から目を背けた事もある。
それでも毎日家族と私の幸せばかり祈って
大好きな物をいっぱい作って待っててくれた。
和君を紹介した時
心配で反対したかったはずなのに………。
尋の気持ちを一生懸命理解しようと話しを聞いてくれた。
お父さん達にも………
『頭ごなしで反対しないで。』って意見してくれたよね。
お陰で……認めてもらえたの。
いつだって私の一番の味方でいてくれた…………。
お父さんとお母さんの愛情を見失って
自暴自棄になっていた時も。
何も言わず、何も聞かず。
ただ寄り添ってくれて………心強かった。
和君と幸せになろうって思えたのは………
誰よりも深い愛情で育ててくれた、小さいお母さんのお陰なんだよ。
私は今日和君のお嫁さんになりました。
お父さん、お母さんと一緒にこんな式が出来たのも………
全部全部………お姉ちゃんのお陰だよう~」

そう言うと泣きじゃくりながら抱きついてくる尋ちゃん。

わんわん泣く二人に

苦笑いの和也さんと先生に見守られて……………。

メインイベントは終わりを告げた。

涙、涙の式は…………

アットホームで………。

幸せに包まれてた。

樹さんの司会で

「本日は本当にありがとうございました。
本当ですと
和君のご挨拶で皆様にお礼を申しあげるのですが。
今日のメインは、やっぱり花嫁と花嫁の小さなお母さんなので。
これでお開きにさせて頂きます。
本日はありがとうございました。
これより先は、幸せな二人に個人的に声をかけてあげて下さい。」と

さっき先生が宮崎さんの時にからかったセリフで

閉めてしまった。
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