キンダーガーテン五      ~ここが居場所~

チビ

クンクンと鳴く声に、目を覚ますと。

先生に抱きしめられていた。

あのままくっついておしゃべりいたら………

そのまま寝てしまったみたい。

「おはよう。」

パチパチまばたきする唯に

いつから起きていたのか………先生に挨拶された。

「…………………………………おは…………よう。」

まだ起ききらない唯に

「チビがお腹を空かせてるみたいだよ。
ママ起きてって、さっきから鳴いてる。」って。

…………………あっ、そうだった!!

チビ、ごめんね!!

慌てて飛び起きる唯に笑いながら

「カップのメモリは4だよ。
お湯を沸かして、柔らかくしてから与えてね。」って。

チビのママは唯。

だいすけの時には先生がお世話してくれたけど

今回は、唯が頑張ってお世話するの。

お湯を沸かして……………。

カップは4。

柔らかくしてから…………

「チビ、ご飯だよ~」

ゲージから出すと、ちょこちょこ歩いて近づいて来た。

小さな体で、生きようと一生懸命食べる姿は

ホントに感動する。

「いつまでも『チビ』って呼んでたら、自分の名前を覚えられなくなるから。
今日一番のお仕事は、名付けだね。
一生の名前だから、しっかり考えよう。」って。

そっかぁ。

一生の名前を考えるんだぁ。

ホントに親だね。

「だったら、早くご飯を食べて考えようね。
悠人パパ!」

すっかりやる気の唯に、嬉しそうに笑顔を返してくれる。
< 147 / 398 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop