キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「は~い。」

まだ涙の残る目で出ると

「やっぱり泣いてる。」

「旦那は、なにやってんの!」

「舌の根も乾かない内に!!」って………

いつものメンバーとお兄ちゃん、洋介さんに尋ちゃんと和也さんが……。

「昨日は、お疲れ様。」

「良いお式だったね。」

「ちょっとは、休めた?」って、唯の頭を撫でながら。

それぞれ言いたいことを言い、リビングに上がって来た。

「よぅ、悠人。
昨日はお疲れ様。」

「どうして、次の日から泣かしてるの?」

悠君にも、いつもと変わらない態度で

思い思いの定位置に腰を下ろした。

「はい、唯ちゃん。」

彩ちゃんが渡してくれたのは………

沢山の食べ物。

「明日から、また一人でしょう?
おまけに、病院の付き添いってなると体力は唯ちゃんもいるから。
サッと食べれそうな物を色々買って来たの。
病院にも持って行って
先生が食べれなくても、遠慮しないで食べるんだよ。」

「そうそう。
手術の後で食べれないんだから。
唯ちゃんが遠慮する事は、ないんだからね!」

「それに、先生は点滴で十分な栄養を貰うんだから。」って………。

みんなの言葉に

「悪い………。
自分の事しか考えてなかった………。」って

シュンと落ち込む悠君。

お兄ちゃんが、悠君の頭をポンポンって叩いて。

「それで当たり前。
手術する奴が、周りに目をかけれたら
その方が怖いよ。
だから俺らが集まったんだろぅ。
普通、明日入院する………
昨日結婚式を挙げたばかりの新婚さんの家に
大勢で押し掛けないだろう。
それでも敢えて来たのは………
『唯ちゃんの事は俺達がみてるから
手術にだけ気持ちを向けろ!』って言いに来たの。」

「そうだよ。
誓いでも言ったでしょう。
『みんなの唯ちゃん!』って!!」

ニヤリと悪い笑いをして告げる海晴ちゃんに

「『みんなのもの』とは言ってない…………。
けど………ありがとう。
唯ちゃんが俺の心配をしてくれるのは分かってるんだけど。
やっぱり俺は、残す唯ちゃんの事が心配でしょうがないんだ。
さっきも、自分の手術の事より唯ちゃんの方を優先して………
泣かれた…………。」
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