キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「だったら………どうして??」

裏のお仕事を知るだけなら

当日先生達と一緒にするだけで十分だよね?

「さっきも言ったんだけど。
新人の先生達に分かりやすく伝えてくれるのは……
唯ちゃんだって思ったんだ。
この間の香川の事でも思ったんだけど。
唯は………
天才的に人を引き付ける力があるんだよ。
誰も敵を作らず
特別自己主張せず。
一見すると
『みんなが守らないといけない』と錯覚する程、頼りなく見えるのに。
いつの間にか、唯が中心にみんなをまとめてるんだよね。
俺なんて、何度嫉妬したことか。
唯の魅力は………
優しさだと思う。
表面の優しさは、みんなあるけど………
唯の優しさは、真似出来ないんだよ。
だから、今とっても不安な新人に
分かりやすく伝えられるのは、唯先生だと思うんだ。」

びっくりした。

先生が唯をこんなに褒めてくれたんだよ!!

彼女として、甘えさせてじゃなく。

同じ仕事の仲間として。

「あぁ~ん。
先生………嬉しいよぅ。
嬉し過ぎて、涙が止まらない。」

クスクス笑って抱っこしてくれるのは

彼氏の先生。

「ずっと………
ダメダメだと思われてるって………いつも不安だったの。
先生の奥さんになる事は………
ずっと家事をしてきたから、頑張れるって思ったけど。
幼稚園で支えるなんて………ホントは無理だって…………。
唯じゃない、もっとしっかりした人との結婚だったら
先生も幼稚園も安心なのにって………。
だから、ずっとずっと怖かったの。
ホントは、みんながどう思うのか。
『しっかりした奥さんをもらってくれたら』って………
先生の評価すら下げるんじゃないかって…………。」

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