その支配は悪魔の果実
キスされそうな程、寸前まで顔が迫ってきた。

ちょっと、、、こんなのムリー!!!

「ぷっ、、、あはははは。なんだよ、その顔」

大口あけて突然笑い出した社長。

あ、こんな子供みたいに笑うんだ。

ドキッ、、、一瞬、ほんの一瞬だけ、この人の熱にやられた気がした。

「はー。お前って本当からかうと面白いわ」

「からか、、、もう、冗談やめてください」

ネクタイをシュッと整えながら、真面目な顔つきに戻る。

こういうギャップって、普通ならきゅんきゅんするんだろうなー。

「佐野 楓」

「は、はい。」

「今日はこれで許してやる。」

前髪をさらりと右手で払うと、そっと触れるだけのキスをおでこに落とした。



な、ななな、なに?


こ、こんな、の、、、駄目ー!

ときめくな私。

落ち着け、落ち着くのよ。

鎮まれ私。


触れられた部分がジンジンと熱を持って、いつまでも冷めてくれなかった。

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