その支配は悪魔の果実
資料まとめに没頭してたら、いつの間にか22時を回ろうとしていた。

ヤバい。

帰らなきゃ。

小走りでエントランスを通り外へ出る。

何も考えなしに歩いてると、背中がゾクゾクと身震いした。

自惚れでもなくて、確かに視線を感じる。

私が止まると同時に止まる足音。

誰?

ストーカー?

いや、それはないな。

信号で立ち止まった私の背後に、密着するように近づいた人物は、静かにこう告げた。

「髙鞍 蒼士に近付くな。痛い目みたくはないだろう?」

寒気がするほど気持ち悪い

ねっとりとした口調に恐怖心が芽生える。

信号が青に変わった瞬間、猛ダッシュした。

がむしゃらに走り続けて、たどり着いた先はあの赤提灯。

家を知られてはマズイ

そう思って寄り道した。

それに一人ではいたくなかった。

震える身体を両手で抱え込む。

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