【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


「杏?」


口をつぐみ下を向く。前向いてええんかな
きっとみんなが思ってるより、あたしの背負うものは重い

でも、この2年、少し休んでええんかな


鈴は…怒らへんかな
志木は…喜んでくれるかな

みんな…あたしを応援してくれるかな



「ごめん、嘘ばっかつくかもしれへんけど、一緒にいたい。みんなと」



泉はあたしを抱きしめ、慧は頭をなでて
朔は飲み干したペットボトルを打ち鳴らし
新は手を叩き、響は少し微笑んだ



この選択があたしの残りの2年をどうするかなんて分からへん。でも
少しワガママを言うならば

" 杏 "としてのあたしを沢山覚えていてほしい





「あたし、多分泉よりも強いで?」


そう笑ってみせた


寂しかったんかもしれへん。あたしのことを知らない誰かと、なんでもない日を過ごしたかったんかもしれへん


だからあたしは、地元を出た。


居場所が欲しかったんや




ありがとう


過去の事で嘘はついても、今から起こる事には、嘘はつかへんようにしよう



自分に嘘をつかない


簡単な事やけど、あたしは、ようやくできた



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