宇宙で一番☆幸せな政略結婚
 
 それから・・・

 いよいよ結婚式の日がやって来た。

 まだ夏の暑さが残っている9月。


 
 カラーン・・・カラーン・・・

 チャペルの鐘が鳴り響く。

 モダンな教会である結婚式場。


 ここで聖竜の結婚式が行われる。

「聖竜、本当に大丈夫? 」

 シルバーのモーニングに身を包んだ聖竜に、母の聖香が心配そうに声をかけた。

「心配するなって、母さん。俺は大丈夫だよ」

「でも、一度も会った事がないし・・・」

「大丈夫だって。父さんの、親友の娘さんだろう? 悪い人じゃないって、俺は信じている」

「ごめんね、聖竜」

「なんで謝るんだよ。俺さっ、今すごく幸せなんだけど」

「え? 」


 聖竜は嬉しそうに微笑んだ。

「母さん、俺のお嫁さんと仲良くしてくれよ」


 一度も会った事がなく、顔も知らない相手との結婚。

 だが、とても楽しそうな聖竜。





 その頃。


 花嫁の控室には、雪森あるとがやって来て準備をしていた。

 純白のウェイディングドレスは、あまり露出がなく首元までレースで覆われて袖もレースで覆われた長袖。

 ふんわりした妖精のようなデザインで、可愛らしい。


 オシャレな帽子とレースのヘッドドレスを頭からかぶり背を向けている姿は、とてもきゃしゃで、短く切られた髪はサラサラしている。


 俯いているあるとが、ゆっくり顔を上げた。

 

 鏡に映ったあるとは・・・

 なんと! 

 名前も名乗らず、聖竜と一線を越えたあの夜の女性だった。


 メイクで顔の傷は隠してあるが、うっすらと目の痣が見える。

 あの夜より髪は短くなっているが間違いない。


「失礼します」


 介添人が入って来た。

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