宇宙で一番☆幸せな政略結婚

 検察局を退職した日。

 1人で飲んでいたあると。

 突然現れた聖竜と一緒に飲み始めて、とても楽しくなって、だんだん惹かれてしまった。

 この人と結婚できたらいいなぁ・・・

 ずっと一緒にいられたらいいなぁ・・・

 そんな想いが溢れてくるばかりだった。



 居酒屋を出ても、離れたくなかった。

 でももうお別れだなぁ。

 そう思っていたら。


 まだ一緒にいたいと言われて、聖竜と一緒にホテルへ向かった。

 2人きりになり夜景を見ていると、あるとは、この人に抱かれたいと思って自分から服を脱いだ。

 服を脱いでみたが、傷だらけの体に、急に恥ずかしさを感じたあるとだったが。


 傷だらけのあるとを、聖竜は優しく抱いてくれた。

(会えなくても愛しているから)

 聖竜はそう言った。


 その声は確かにあの電話の主と同じであり、よく聞くと聖竜と同じである・・・。

 

 唇が離れると、あるとはじっと聖竜を見つめた。


「・・・思い出しました。・・・あの夜の事・・・」

「え? 本当? 」

「はい、確かに貴方でした。・・・あんな傷だらけの私を受け入れてくれて・・・」

 あるとは辛そうに視線を落とした。


「もう傷だらけじゃないだろう? 」

 優しい聖竜の声が、あるとの胸にキュンと響いた。

「はい・・・」

 小さく答えるあると。

「何も心配するな、俺がずっと護るから。二度と、お前の事傷つけさせないから」

 嬉しくて感無量になったあると。

 言葉は探せなくて、頷くしかできなかった。

< 51 / 61 >

この作品をシェア

pagetop