幻想ウエディング～人魚姫には王子様の甘いキスを～

俺以外の孫たちは皆、結婚した。孫で独身は俺だけ。
公安の仕事をしている俺には結婚なんて頭にない。

公安の人間が結婚しても、六割以上が離婚してしまう。
円満な結婚生活を送れるのはやはり、仕事に理解のある同じ公安か警察関係の女性との社内恋愛がベスト。

高校時代は本能に任せ、色んな女性を相手したけど。


「俺は結婚しませんから・・・」

「いいか？見合いのセッティングが決まれば、連絡する。必ず、来るんだぞ！蒼斗」

「そう言われても・・・」

「まぁ―一度会うだけでも、いいんじゃない？蒼斗君」

俺は口を噤み、コーヒーを啜った。
俺とお爺様の間に立つ岳叔父さんもほどほど疲れていた。

「分かりました・・・」
俺は渋面で頷いた。