冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました
会議は午後一時から。朝食を食べて急ぎ足で東京へ向かえばなんとか間に合うはずだ。

道さえ混んでいなければだけど……。

受けて立とうじゃないですか!なんて意気込んだのはいいけれど、会議で失敗したらどうしよう。

またみんなに迷惑をかける結果になったら……。

「お前、緊張してるだろ」

「え? いだだだっ!」

荷物をまとめながら不安な面持ちで一点を見つめていると、いきなり安西部長に頬をぶにっと軽くつままれた。

「もう、なにするんですかっ!」

「顔、強張りすぎ。不安か?」

心配げな顔で覗き込まれるとうっかり本心が出そうになってしまう。

「本当は不安です」とそう吐き出してしまえば楽になるのかもしれないけれど、自分の弱さを安西部長に見せたくない。だから私は無言で首を振った。

「お前なら大丈夫だ。なんせ、俺が手塩にかけて育てた部下だからな。ほら、昔から言うだろ? 目の前に座っているのはジャガイモやニンジンだと思えって、岡崎専務なんかそれこそカボチャみたいじゃないか」

「ぷっ……なんですかそれ」

ホッと肩から力が抜けると、自分が知らず知らずのうちに気張っていたのだと思い知らされる。そして彼の優しさに微笑みがこぼれた。
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