君のそばにいさせて
仲直りしないの?

背後に声が響いた

振り返ると森山くんだった。
今から部活なのか、服装が、黒いジャージ姿だった。

「あっ、えっと」
「わるい、困らすつもりじゃないんだ。ただ、遊馬もかなり不安定だから」
バツが悪そうにそっぽ向いてぶっきらぼうに話す。

「今は、お互い忙しいから話す機会もなくて」
話す機会がないんじゃない、話す機会を作っていない、、だけ


「俺のこと避けてる?」
「えっ、そんなこと、ない、よ」
「ふーん、まぁ、仕方ないか」

少し、肩を落とす森山くん。

伏せ目がちにして、足元に視線を落とした。

<<泣くなよ>>

あの日。
森山くんに抱きしめられながら、わたしはずっと泣いていた。

放課後。
誰もいない廊下で座り込んだまま。
私は森山くんに抱きしめられたまましばらく、動けなかった。

森山くんはずっと、


泣くな。大丈夫だから。
大丈夫だから。

って繰り返してくれていた。


森山くんは、全て知っているのだ。
田中さんとのことも、
遊馬くんとのことも。

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