世界No.1の総長と一輪の花 II





『うそだから』





笑いながら言う詩優は絶対面白がっていると思う。
"ひどい!!"と言おうとしたところで、公園への横を通り過ぎる男女の笑い声が聞こえてきた。





『…誰かいんの?』



「あ、えと…公園に来てて……今近くを人が通り過ぎただけだよ」






『あほ。危ねぇだろうが。早く部屋帰れ』



「…わかった…」






『無事に部屋に着くまで電話繋いどくから』



「…心配症だね、詩優は」






私は公園からお母さんのアパートへと向かう。






『もっと声が聞きたかっただけ』



「…っ!!!!」






思わずピタリと足を止めた。
詩優もそう思ってくれていたことに驚いたから。






『…頼むから何か言って』



「あ…えと……」






熱くなっていく…
詩優の言葉が嬉しくて……






『……おーい』



「…同じこと思ってたからびっくりしただけ…だ、よ」






『……あー…もう……今すぐ迎えに行きたい』



「…だめ。総長のお仕事あるんでしょ?」







< 86 / 439 >

この作品をシェア

pagetop