愛してると3回言って
「東堂?」

「あ……」


テーブルの上で掌に爪痕が残るまで、自分の手を握っていたようだ。

赤くなっている。


「痛くない?」


私の手に気づいたのか、そう言って彼は自分の手で優しく包み込んでくれた。

大事なものを扱うように、すごく優しかった。


「……大丈夫、です」


でも私は気づいてしまった。

彼の手がかすかに震えていたこと。

彼の指先が冷たかったこと。

それでも、優しかったこと。
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