愛してると3回言って
キスの次は手ですか。

何を期待して彼女は私に聞いているのだろうか。

手は……あれは繋いだに入るのだろうか。

掌に爪痕が残るまでギュッと握りしめていた時、楠木さんに手を握られたけども。

きっと夏子の望んでいる展開ではない気がする。

そう結論づけた私は否定した。


「繋いでない」

「嘘ね!」

「は……」

「今のは嘘よ。手は繋いたんでしょう?」

「だから繋いでな」

「嘘よ!」


なぜ、私の言うことを否定するの。


「ほーら。正直に話してごらん」


はぁ……とため息をひとつ。

仕方ないから一応話す。

話さないとこのままうるさく問い詰めてきそうだったし。


「やっぱりね!繋いでるじゃん」

「でも繋いだって言うか」

「グチグチ言わないの!」

「……はい」


その後もお昼休みいっぱいを使って、夏子はいろんな質問をしてきた。

おかげで午後の仕事前に私の体力は尽きようとしていた。
< 55 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop