愛してると3回言って
「昨日頂いた内容から僕の方でいくつかのパターンを洗い出しておきました。資料をご確認いただけますか?」


そう言って中野さんは全員に資料を配布する。

昨日の今日でもう準備しているとは、さすがだ。

手渡された資料に目を通す。


「なるほど……この機能が欲しいのか」


資料を見て楠木さんがボソリとつぶやく。

中野さんが提示したプランを見て、なにか思うところがあったんだろう。

これは出来るけどこれは無理だとか、時間がかかるなぁ、などの声が聞こえた。

技術的なところはあまり分からないから、楠木さんを信じるしかない。


「そういえば」


資料をチェックしていると、中野さんがふと声を上げた。


「なんで東堂さんの所に連絡が行ったの?」


当然のごとく、質問が来た。

それはそうだ。

だって元はと言えばこの業務は私の担当ではない。

多少絡んでいる部分があると言っても、どちらかと言えば中野さんの所である。


「別業務でお客さんと話すことがあって……」


ことの経緯を細かく説明すると、中野さんは深いため息をついた。
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