泣いた、緋鬼
「大丈夫ですよ、看護師さん。彼は悪い人じゃないです」

可笑しそうに笑う未菜に看護師が不信な目を向ける。

「今のどう見ても不審者じゃない!それとも、未菜ちゃんの知りあい?!」

腰に手を当てて看護師が聞くと、未菜が嬉しそうに答えた。





「彼は……、友達――――です」





ニッコリ笑うと、未菜は看護師に言った。





「そこの窓、開けておいて下さいね。また彼が来るかも知れないので。―――――お願いします」





「――――分かったわよ」





未菜が切なさそうに言うと、看護師は渋々頷いた。

「―――ありがとうございます」





未菜はお礼を言って、希が消えていった窓の外を愛しげに見つめた。
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