敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「須藤君、随分本気みたいだね」

「はい」




社長に就任して以来、自分の全てを仕事に向けてきた。
仕事のつながりで女性を紹介されたり、お見合いの申し入れをされたりということも少なくなかった。
が、そんなことにかまけているぐらいなら仕事がしたいと、全く興味が持てなかった。


田中さんや、秘書の長谷川のような身近な人間にはいつも心配されていた。
仕事もいいけど、そろそろ家庭を持ってもと。

なんとも思えない相手と一緒にいても疲れるだけだと、のらりくらりとかわしていた。
一生独りでも、それはそれでかまわないとさえ思っていた。



でも今夜このバーで、ピアニストを一目見て、演奏を聴いて、一瞬で心を持っていかれた。



ー 彼女が欲しい ー






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