real face
嘘じゃない、本当に昔からカッコいいって思っていた。
イチにぃより、シュウにぃの方がモテていたし。
ただ、性格に難有りってところが残念なんだよね。

「とりあえずサンキュー。まひろと翔にも驚いたけど、まさか兄貴に彼女がいるとはな。みんな俺がいない間に好き勝手やりやがって」

「な、なにその言い方。イチにぃにも失礼だよ。素直に喜んであげたらいいじゃない」

ほら、こういうひねくれた感じ。
懐かしいな……。

「喜べるかよ。人の気も知らないでまったく。余計な仕事増やしやがって」

余計な仕事?
一体どういう意味……?

「ねぇ、それって」

「ところでまひろ、兄貴の彼女ってどんな人なんだ。お前は会ったことあるのか?」

「え、実は明日会うんだけど……」

「なんだって!?もしかして修羅場ってやつか!大丈夫なのか?俺がついていってやろうか」

は?
何言ってるのシュウにぃ。

「そんなわけないでしょ!バカじゃないの?」

呆れて物が言えないとはこのことだ。
シュウにぃって、頭がいいくせに勘違いが甚だしいというか、思考回路がどうかしてると思うことがよくある。

「ごちそうさま。伯母さんの料理、久し振りで美味しかった!!また食べさせてね」

「良かったわ!たまにはうちにも遊びにいらっしゃい、まひろちゃんも、双子くんも、あかりちゃんも」

お母さんも、みんなも、すごく楽しそうで私も嬉しい。

「うちに嫁にくればいいだろ」

そんな戯れ言は、無視無視。


シュウにぃから離れたくて席を立った。
洗い物しちゃおうかな。

「姉貴、俺が今日は片付けやるからいいよ。風呂でも入ってきたら?」

空いたお皿をキッチンに運んでいたら、新が後を追ってきた。

「そうさせてもらおうかな。いつもありがとう、新」

「いいよ。さっきさ、シュウにぃと話していただろ。送ってもらったって、誰に?」

やだ、聞かれていたなんて。

「うん……あのね。まだ言ってなかったけど、同じ会社の人。同じ電車だから、送ってくれて」

「前に話していた、鬼主任?」

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