real face
「そうなの!私が帰ってきたらちょうどオーブンで焼いてるとこでね、おねぇの顔が……ケーキを睨み付けてて怖かった」

「あかりちゃんは、お姉さんの子供の頃によく似てるんだね」

…………ん?

洗い物をチャッチャと片付けながら、歓談している主任たちの会話が気になる。

「あれ、主任さんって、おねぇの子供のころから知ってるんですか?」

「あ、いや、写真を見せてもらったことがあって」

写真……?
こないだの家族写真のこと?

「そういえば翔さん、姉貴って会社ではどんな感じですか?ちゃんと役に立ってるんですか?」

おいおい信!なに聞いてるの!!

「蘭さんは俺のパートナーだけど、仕事は早いし要領もいいからいつも助けられてるよ」

え、なんかもしかして褒められてる?

「主任さんとイチにぃってどっちが偉いんですか?」

「イチにぃは課長さんだから、主任よりも偉いんだよ」

「おーい姉貴ぃ、翔さんが待ちくたびれてるから早く!自慢のケーキ食べようぜ!!」

「じゃあ運ぶから手伝って」

冷蔵庫で冷やしておいたチーズケーキを切り分けてお皿に盛った。
いよいよ、勝負の時が………来た。

「なあ、新。お前、姉貴と翔さんのことなんとなく感付いてたって言ったよな。いつから気付いてたんだ?」

あ、それ私も気になってたんだ……。
主任と私はコーヒー、双子は牛乳、あかりとお母さんはオレンジジュース。
飲み物を用意して、それぞれに配ったとこで席に着いた。

「いつって……。あれは確か今月の頭だ。1日だよ」

1日?

「帰りがちょっと遅くなってさ、腹減ったなーと思いながら帰って来たら、マンションのとなりの公園で………」

…………………!!
思わず顔を見合わせた主任と私。
それって、もしかして、あの時に見られてたの?


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