real face
「経理部長にカマかけたら、あっさり白状した。2人で蘭事務所とは、もしかしなくても"S"作戦だろうな」

「有田さんには追及しないでやってくれませんか?課長にも内緒って辛いと言ってましたよ」

「ああ、そうするよ。とうとう動き出したようだな、修一も」

そうだな、俺たちの"M"作戦に続いて、修の"S"作戦もいよいよ始動……か。

「今日はまひろが休みでよかったかもな。俺は簡単には騙されないけど、まひろがもしこの状況でニアミスしてみろ。傷付くぞ?面白いほどに簡単にな」

"この状況"っていうのは、俺の車の助手席に有田さんを乗せていたという事実だろう。

「課長、一応念のために言っておきますが、有田さんが蘭事務所に行ったことは極秘情報ですから。くれぐれもトップシークレットでお願いします」

「ああ、もちろんだ。口にチャックでもつけとくよ」

有田さんが台車を引きずってきた。
台車ってのは、引くんじゃなくて押すもんじゃないのか。


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