real face
車が走り出す。
どこに向かっているの?
私を家に送ってくれるんだろうけど。

「コンビニに寄るけど、なにか飲み物要る?」

「あ、じゃあ……カフェオレをお願いします」

通り道に寄ったコンビニで、飲み物を買いに行った主任を車の中で待っている私。
1人きりになると、寂しく感じるのは、よっぽど主任と離れるのが嫌なのか。
このあとは、送られてそれで終わり?
晩御飯に誘った方がいい?
だけど今日はお母さんのシフトだから、知らせないとダメか。
まだ主任戻って来ないなら、今のうちに電話してみようかな?
悩んでる暇なんてない、急いでお母さんの携帯に電話電話……。

「……………………」

繋がらないところをみると、話し中なんだ。
誰よ!こんな大事な時に!
じゃあメールでもしておこうかな。

『今夜の晩御飯に佐伯主任を誘ってもいい?まだ今から誘ってみるつもりだから、あとでまた連絡するね。電話誰と話してたの?』

主任が戻ってくる前にって焦ったけどなんとか無事に送信完了。


焦る必要なんてなかった。
暫く経ってもまだ主任は戻って来ない。

そうだ、明日のことも聞かないといけないんだった。
明日、8月7日は大事な日だから、主任と一緒に過ごしたい。
もしかしたら主任もそう思ってくれているのかも知れないけど、私の方から言わないとダメだ。

「悪い、遅くなった。はい、カフェオレ」

「ありがとうございます」

戻ってきた主任は、自分のコーヒーを一口飲んでから「はあっ」と息を吐いた。

な、なにかあったのかな。
飲み物を買うだけにしては結構な時間がかかってたような気がするけど。

「えっと主任、これから家まで送ってくれるんですよね」

一応、確かめないと。
勘違いしてたとしたら、かなり痛いし。

「そうだな。先にまひろの家に寄り道して、その後に俺の家に帰る予定だけど」

やっぱりそうだよね、うん。
よし、思いきって晩御飯に誘ってみよう!
なんて密かに意気込んでると、主任が意外なことを口にした。

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