real face
「ええまあ……。気になります」

どうしてだろう? 自分でもよく分からないけど。

「"S・Factory"っていう会社、知ってる?」

エス・ファクトリー?

「いいえ、知りません」

「うちと同業者みたいな。もともと文房具の卸業者だったんだけど、自分たちで製造から販売まで手掛けるようになって。今では立派な文房具メーカーだよ。社名変更してまだ1年くらいだから、あんまり知られていないんだろうね」

「そうなんですか。機会があれば、お願いします。あ、貴浩部長に佐伯主任からの伝言をお伝えしてませんでしたね」

「へぇ、佐伯さんから?」

「はい。次回は必ずお会いしたいとのことです。今日はわざわざ予定を空けてくださって、ありがとうございました」

「こちらこそ、佐伯さんが来れない日に無理言って申し訳ないです。またこちらから連絡させていただきます。お疲れさまでした」

「お疲れさまでした。では、失礼いたします」


ふう……疲れた。
RYUZAKI工房を後にして、ホッと息を吐く。
時刻は、16:25。
会社まで約30分だから、17:00頃には帰社できるだろう。
会議はまだ続いているはずだから、途中からでも参加できないかな……。

ブルブルブルブルブル♪
携帯のバイブが着信を告げる。

「はい、蘭です」

『佐伯だけど。もう打ち合わせ終了したか?』

「はい。いま駅に着いたとこです。あと20分ほどで戻る予定ですが」

『いま休憩中なんだ。30分後に再開だから、ワーセクの第1会議室に来い。遅れんなよ、じゃ』

ギリギリ間に合うかな?
会議に参加できる…嬉しい。
何時までかかるのか分からないから、今日は残業覚悟。
食事当番じゃなくて良かった。
遅くなりそうって連絡だけは入れておかなきゃ、新や信から叱られちゃうな。
電車降りたら会社に着く前に電話しよう。


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